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プリントゴッコの話

大発明プリントゴッコの誕生から終了まで その歴史のお話

日本という国には、「年賀状」という文化があります。毎年12月頃になると、全国で沢山の年賀状が書かれているのでしょう。しかし、沢山の枚数を一枚一枚手書きで書くのはとても大変!そこで年賀状印刷などが利用されてきたわけです。
ところが、1977年9月、革命的な商品が登場しました!それが『プリントゴッコ』です。今回はプリントゴッコの発売前のちょっとしたエピソードを中心にご紹介していきます。

 

『プリントゴッコ』は、理想科学工業株式会社という所で作られました。元々は、この会社が持っている『孔版印刷』の技術を使って、何か商品が出来ないか。ということから開発されたようです。初めは特に「年賀状に!」と作られたわけではなく、出来た製品が年賀状文化にジャストミート!したわけです。ちなみにプリントの仕方を紹介すると

原稿を書きます。自由度が高いのもこの商品の魅力。自分で書いたイラストなども簡単に原稿に使うことが出来ます。イラスト集から切り貼りして作ったりも出来ました。ただし、カーボンが多くないとよく製版できないので、一度コピーしたりすると製版しやすかったです。
この工程は楽しかったですよね〜。原稿の上にマスターという原紙をのせて、その上から強烈な一瞬の光(ピカッ!)で製版します。原稿のカーボンが焼け、マスターに微小な穴を開けます。そこからインクが染み出すようになるわけです。
マスターにインクを乗せます。焼けたことで、原稿がマスターに張り付いていますから剥がさないで乗せましょう。そうでないとどこにインクを乗せたらいいやら分からなくなります。マスター上でわざとインクを混ぜてマーブル状にするなど、様々な「技」もありましたね。
マスターの下に用紙をセットして上からギュッ!これで印刷完了!ポンポンと楽に大量の枚数を刷れました。

 

簡単ですね。発売されるや瞬く間に大人気!年賀状作りの定番商品にまでなりました。もちろん製品が優れていたこともありますが、会社の販売の仕方にも負うところがあるでしょう。
まず、問屋を排除して小売店と直接販売することで、製品価格を抑えました。これは、子供がお年玉でも買えるように。という配慮だそうです。また、口で説明するのでは分かり難い機能を、実演販売、という方法で広めて回りました。年末になると理想科学の社員は各小売店の店頭に駆り出され、お客様に実際に触ってもらう、分かってもらうことに努力しました。

2013年 ビバ!プリントゴッコ展

この商品、実際に製法を見ないと良く分からないですが、製作中の光景は目を引きます。理想科学の細谷任道さんが1993年に読売新聞に語った話ですが、 発表会場は大人気だったそうです。

「当初はそれほどヒットするとは思っていませんでした。実際、発売の4ヶ月前に展示会に出品しましたが、プリントゴッコには隅っこに小さな机が2つ与えられただけでした。そんな目立たないところにもかかわらず、実演を始めると次第に人垣が出来、驚いている暇もないくらいでした。必死で実演を続け、なんか人が少なくなってきたな、と思ったときには会場が閉まる時間になっていました。」

細谷さんは発売直前にも面白い事に出会っています。
(プロジェクトX又は仕事の流儀風に読んでみましょう)
『今やって見せるから、見ててください。』羽田空港の係員に細谷は言い放った。
発売を前にして、部品のフラッシュランプが韓国で調達できるかを調査に行くところだった。開発中のプリントゴッコはあまりに独創的な製品のため、係員に不審がられてしまったのだ。説明しても分かってもらえない。この出張が出来なければ、プリントゴッコの発売に間に合わなくなる。展示会での人垣を思い起こした。(あの人たちは、発売を楽しみにしている。裏切るわけにはいかない。)細谷は奇策に出た。「今やって見せるから、見ててください。」。。。
後に細谷は言う。「説明しても分かってもらえなくて、原稿作り、製版から印刷までやってみせました。すると、疑い顔だった係員がニコッとして、『なんと言う商品ですか』『どこに行けば買えますか』と聞いてきたんです。まさに百聞は一見にしかずでしたね。」

発売後は大ヒット商品となり、90年代前半には実に5世帯に1台と言うところまで普及しました。
しかしその後、強力なライバルが現れます。自分で年賀状をきれいに早く(コストは別にして)作れるパソコンです。パソコンの急速な普及の結果、プリントゴッコは窮地に立たされます。

残念ながら、現在では年末の定番商品の座を奪われ、販売も落ち込んでいます。しかし、2003年、新製品が登場しました。それは『プリントゴッコジェット』。スキャナーまでも一体化させた一体機です。昔、フラッシュランプで製版していたところをスキャナーにしたわけです。2007年まで販売されました。


「プリントゴッコジェット」 

また、年賀状以外の用途として、最近は「簡易シルクスクリーン」として、アート指向の方々に使って頂いているようです。多版刷りにして凝って作られた作品は、プリントゴッコで作られたとは思えないできばえで、普通の美術作品となんら変わらないほど美しいです。皆さんも挑戦してみてはいかがでしょう?

年賀状を刷る物としては 現在ほとんど使われなくなってしまいましたが、私も子供の頃は毎年プリントゴッコで年賀状を作っていました。兄弟や父と、原稿を一緒に選んだり、楽しく作っていたように思います。パソコンと違い、プリントゴッコは会話を増やせる物です。皆で楽しく作ることが出来ます。確かに機構的には時代遅れかもしれませんが、 プリントゴッコには、そんな隠れたもう一つの特徴があるのです。皆さん、それを忘れないで下さいね。

 

 

※残念ながら2008年5月30日(金)に、プリントゴッコ本体の販売を2008年6月30日をもって終了するとのリリースが、理想科学から届きました。個人的にもちょっと残念ですね。長らく愛されてきた製品ですが、昨今のPCの普及には勝てなかったようです。ランプ、インク等の消耗品は、当分の間販売を続けるそうです。

※さらに残念なことに、2011年9月20日(火)に、全ての消耗品の販売を2012年12月28日をもって終了することが発表されました。いよいよ終わる時がやってきたわけです。アイテムによっては終了が早まるものもあると思います。必要な方は早めに確保して頂けるようお願いいたします。また、生産の終了している本体の修理などのサポートも同時に終了いたします。

プリントゴッコjetV-10 修理・・・・・2012年3月終了
プリントゴッコPG-11 修理・・・・・2012年12月終了
プリントゴッコPG-10 SUPER 修理・・・・・2012年12月終了
プリントゴッコPG-10 修理・・・・・2012年12月終了
プリントゴッコPG-5 修理・・・・・2012年12月終了
プリントゴッコアーツ(紙用) 修理・・・・・2012年12月終了
プリントゴッコアーツ(布用) 修理・・・・・2012年12月終了
         これ以外の機種は以前にサポートを終了

 

そしてついにその日はやってきました。
2012年12月28日

さようなら・・・プリントゴッコ・・・

2013年 ビバ!プリントゴッコ展